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白井大工のあらまし

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先人の知恵が集結した柔構造

明治以降普及した剛構造 明治以降普及した剛構造

明治以降普及した剛構造

 明治維新以降の日本では、西洋文化を積極的に取り入れたことにより生活様式が大きく変化しました。
住宅も例外ではなく中央では西洋設計の建物が建てられました。
西洋式建築の特徴の一つとして「剛構造」がございます。
たとえば、鉄筋コンクリート造りの建物は柱も壁も鉄筋コンクリートであり、建物自体を強固な一つの個体とし地震等で建物が揺れても建物の頑丈さで耐える構造です。

特長は、「容易」であることです。 つまり家の安全性を法律で定める際に、指数等を容易に数値化しやすい「剛構造」が適していた側面がございます。

伝統建築は柔構造 伝統建築は柔構造

伝統建築は柔構造

 それに対し、日本の伝統建築は「柔構造」による建物が主流です。
ベースとなる柱を軸に梁をホゾと呼ばれる加工を行い、木だけでがっちり組みます。
柱が建物の荷重を支え、梁が横揺れ縦揺れの際にかかる力を受け、木のしなやかさが、強い力を受け流し元の形へ復元するのです。

特長としては、「強くさらに長持ち」することです。
長期間建物に無理な力がかかり続けるといつか破たんしますが、無理な力を受け流し続ければ、建物は常時自然体でいられるため長持ちするのです。

柔構造VS剛構造の強度対決 柔構造VS剛構造の強度対決

柔構造VS剛構造の強度対決

 柔構造のエピソードとしてこのようなことがございました。
平成十三年に、埼玉県のものづくり大学のイベントで「木造耐力壁ジャパンカップ決勝トーナメント」という大会が開催されました。
大学、研究所、工務店等のチームが木造の壁を1枚作り1対1で対戦し優勝を目指す大会です。
対戦方法は、互いの木造壁を横に並べ審判がジャッキで引き合い先に壊れた方が負けというものです。

 木造壁製作のルールとしては、ボルト等の金物の使用が認められており、「剛構造」の発想であれば、骨と骨の間に筋交いをクロスさせ、ボルトで完全に固定するのが定石です。
ただ私どもはあえて「柔構造」の発想で釘やボルト等を一切使わず、筋交いも入れない純木造壁で挑みました。結果は14チーム中第2位(準優勝)と、強度を競う大会において「柔構造」が設計次第では剛構造と同等の強度を持つことを証明する結果となりました。

[平成13年木造耐力壁ジャパンカップ決勝トーナメント]

強度と柔軟性を兼ね備えてこその社寺仏閣 強度と柔軟性を兼ね備えてこその社寺仏閣

強度と柔軟性を兼ね備えてこその社寺仏閣

 地震にも強く、建物の寿命も長くする「柔構造」ですが、あえてデメリットをあげるとすれば、それは「コスト」です。
柔構造設計を実現するには、木材等の素材を吟味・選別することから始め、柱や梁などが百年先どのようにしなるかを見極めたうえで設計しなければなりません。

 言うは易し行うは難しの如く、柔構造は時間・労力・質の良い木材を使い、気の遠くなるような手間暇をかけて初めて実現可能となります。

 それでも私どもは、楽を覚えるようなことはせず、社のある在所に住まわれる方々が、子々孫々にまで優れた社を建てたのだと胸を張って自慢していただけるように、先人より受け継いだ知恵に創意工夫を重ねながら、日々精進しております。

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